PMOってどんな仕事？

PMO(Project Manegement Office)とはプロジェクトマネジメントオフィスの略で、PMBOKの定義によると「プロジェクトに関連するガバナンス・プロセスを標準化し、資源、方法論、ツール、および技法の共有を促進するマネジメント構造」と定義される職種です。

上記の文言だけでは正直どんな仕事かイメージしにくいと思いますが、簡単に表現するならば「プロジェクトを円滑に進めるためにルールの設定やスケジュールの進捗管理をしたり、部門間の調整や課題を共有するなどしてより仕事がしやすくなる環境を整備する仕事」いったところでしょうか。

PMOの役割とは

日本PMO協会によるとPMOの役割には以下のようなものが挙げられます。

1. プロジェクトマネジメント方式の標準化
   • プロジェクトのマネジメントプロセスを定義し、そのプロセスを実施するためのフォーマットを作成します。
     マネジメントプロセスとは、スケジュール管理／課題管理／リスク管理／仕様変更管理／品質管理／構成管理／ステークホルダー管理等を指します。
2. プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
   • 組織におけるプロジェクトマネジメントの方向や必要性を考慮しながら、経営層、人材開発部門、プロジェクトのライン部門等と連携を取り、プロジェクト・マネジャーの人材育成などを進めていきます。
3. プロジェクトマネジメント業務の支援
   • プロジェクトの目的/成果の合意形成、計画策定、プロジェクト状況の見える化、意思決定支援等、企業のマネジメント成熟度の向上を図り、プロジェクト成功率向上を図ります。
4. プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
   • リソースには一般的に「ヒト」「モノ」「カネ」があり、これらに加え「時間」「情報」「知的財産」なども含まれます。目標達成のためにどれほどのリソースが必要かなどを把握し、それらのリソースを過不足なく効率を考えて計画・管理をします。
5. 個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
   • 企業には様々な業種やシステムが存在し、業界独自の法律や制限、企業ごとのルールやコンプライアンスなどの環境的差異が存在しています。それらを考慮し法令違反等のリスク管理や組織ごとのルールやコンプライアンス、ガイドラインを作成します。
6. その他付随するプロジェクト関連管理業務
   • PMOは非常に幅広い関連業務が存在します。プロジェクトメンバー間でのコミュニケーション促進や業務上必要な各種調整や会議のファシリテーション、各種資料作成などの事務作業なども仕事の一部です。

PMOに向いている人はどんな人？

1. コミュニケーション能力が高い
   • PMOはPMだけではなく様々なメンバーやステークホルダー、経営層ともやり取りをする可能性のある職種です。よって相談がしやすく、傾聴力があり、正確なコミュニケーションが取れる方に向いている職種でしょう。
2. 論理的思考と課題解決能力がある
   • PMや経営層に向けた説明や課題管理等が求められるポジションなので物事を論理的に捉え、説明していくことが求められます。よって結論から話し始めることや端的に説明する能力に長けている方は向いている仕事といえるでしょう。
3. SEとしてプロジェクト参画経験がある人(IT業界)
   • プロジェクトとひとくくり言っても様々な業界のものがありますが、ことIT業界においてはSEとしてのプロジェクト参画経験があると重宝されやすいです。管理といってもモノづくりの現場においては技術者頼りにならざるを得ません。その際、開発上の制約や苦労など、技術者と同じレベルでシステムの進捗を理解できる方は非常に評価を受けやすいです。
4. マルチな業務に抵抗がない人
   • 先述したようにPMOは立場上、非常に多岐にわたる広範な業務や忍耐力の求められる仕事です。プロジェクト自体の問題も当然発生すれば、都度修正を求められます。そんな目まぐるしい中でも一つ一つの作業にきめ細やかな配慮が出来る方は適性があります。逆に細かいことには特に関心が薄く、一つの問題に集中したい人には不向きでしょう。

まとめ

PMOはIT業界においての「なんでも屋」といっても差し支えないほど幅広い仕事や関係者と関わる仕事です。もちろん専門的な管理手法や知識も重要ではありますが、逆にスキルが高いことでＰＭやその他のメンバーの声を聞かずに自らの意見を押し通して、メンバーが委縮してしまったり、反感を買ったりと独りよがりなプロジェクト・マネジメントになってしまっては誰の為の成功なのかよく分からなくなってしまいます。

それ故、PMOは一歩間違えば「居てもいなくてもいいひと」といった評価を受けてしまう可能性すらあります。様々な人々と1つのプロジェクトを成功に導くにはスキルはもちろんですが、「人間力」も非常に重要な要素となると著者は考えます。PMOはあくまでもプロジェクトにおける「黒子」でありますが、価値のある「縁の下の力持ち」といった仕事なのではないでしょうか。